借金返済のために不動産売却をすると税金が掛かるの?

借金返済のために不動産売却をすると税金が掛かるの?

1906view

2018.09.11

不動産売却に関連する税金とは

譲渡所得税と住民税

お金儲けではなく、借金返済のために自分が所有する不動産を売却しても、税金が掛かってしまうのでしょうか。残念ながら答えは、Yesです。

不動産売却によって生じた所得を譲渡所得と呼んでいます。この譲渡所得に対して、他の所得と分離して住民税と所得税が課税されることになります。ただし譲渡所得がマイナスの場合においては、課税されないことになっています。

譲渡所得税を計算してみよう

譲渡所得の計算方法は、土地や建物の譲渡代金である「譲渡収入金額」から「取得費」と「譲渡費用」を差し引いた金額になります。このときの取得費というのは、土地や建物の購入代金と、取得するために掛かった費用を合計した金額から、建物の「減価償却費」を差し引いた金額になります。これを実額法といいます。

または概算法と呼ばれる譲渡収入の金額の5%を取得費とする場合があります。これはどちらか金額の大きい方が選択されることになっています。また「譲渡費用」というのは、売却するために直接掛かった費用を指します。具体的には、不動産業者への仲介手数料や引っ越しを除く運搬費、登記や登録に掛かる費用などです。他にも測量費用や立退料なども挙げられます。

そして「課税譲渡所得」の計算方法ですが、先ほど計算した「譲渡所得」から「特別控除」を差し引いた金額になります。ここでいう「特別控除」とは、居住用の3,000万円の特別控除を始めとした特例などを指します。

最後に税額を計算してみましょう。税額の出し方は、課税譲渡所得に所得税や住民税などの税率を掛けた合計金額になります。譲渡益に対する税率というのは、他の所得と分離する分離課税の税率となります。対象となる不動産の用途や所有している期間などにより税率が異なるため注意が必要です。

長期譲渡所得には特例がある

この所有している期間というのは、譲渡した年の1月1日(元旦)に遡って計算し、所有する期間が5年以上または以下かにより判断します。所有する期間が5年以上になるものを「長期譲渡所得」、5年以下を「短期譲渡所得」と呼びます。

それぞれの税率をみてみますと、「長期譲渡所得」については20.315%(内住民税5%)、「短期譲渡所得」については39.63%(内住民税9%)になります。所有期間が10年以上の場合は特例があり、課税譲渡所得が6,000万円以下の部分については14.21%(内住民税4%)、課税譲渡所得6,000万円超の部分については、20.315%(内住民税5%)と軽減税率が設定されていることが分かります。

税金が免除される場合もある?

競売

不動産の競売とは、債権者が債務者所有の不動産などを、裁判所の管理下で強制的に売却するオークションのことです。競売の場合も、原則として売却益が発生した場合、譲渡所得税や住民税が掛かりますので注意が必要です。言い換えますと、売却した代金を全額、借金の返済に充てたとしても、税金は発生してしまいます。

任意売却

任意売却とは、債権者が時間の掛かる競売による不動産売却ではなく、不動産会社の仲介を入れて迅速に売却することです。競売では不動産の売却価格が、市場価格よりも安くなる傾向があるため、少しでも高く売りたい意味でも重宝される手段です。

競売と任意売却では税金が免除されるケースがあるの?

競売や任意売却の場合には、譲渡所得税が掛からないケースもあります。早速確認していきましょう。一つは、所得税法9条の非課税所得にあてはまる場合です。端的にいうと、課税したとしても、税金の徴収が困難ではないのかと裁判所に判断されることです。

もう一つは、所得税法64条2項の特例で、物上保証人による抵当不動産を任意売却した場合です。物上保証人はいわゆる第三者の保証人のようなものです。しかし、これらの特例は裁判になったりするケースもあるため、専門知識がない場合は、専門家に相談した方が良いでしょう。

以上のことから不動産売却には、基本的に税金が掛かってしまうことは頭に入れて、行動するようにしましょう。

このコラムが気に入ったら
ぜひ「いいね!」をお願いします♪

みんなに役立つ情報をお届けします。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

あわせて読みたい関連コラム

掲載中のコラムを見る